4月はスコットランド本島の南側全般(ローランド)に位置する蒸溜所を特集します。政治・観光の中心地である・エジンバラ、商業都市グラスゴーの2大都市があり、ロンドンからのアクセスも近く、スコットランドの中心地です。そして、ローランドエリアは伝統的な蒸溜所と新興蒸溜所が混じり合う場所として近年注目を集めています。今回はその代表的な蒸溜所と新興蒸溜をそれぞれ特集していきます。
伝統と新興が交わる場所
4月はスコットランド本島の南側全般(ローランド)に位置する蒸溜所を特集します。政治・観光の中心地である・エジンバラ、商業都市グラスゴーの2大都市があり、ロンドンからのアクセスも近く、スコットランドの中心地です。そして、ローランドエリアは伝統的な蒸溜所と新興蒸溜所が混じり合う場所として近年注目を集めています。今回はその代表的な蒸溜所と新興蒸溜をそれぞれ特集していきます。
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スコッチウイスキーで有名なスコットランド。その中心であるエジンバラと一大商業都市のグラスゴーはスコットランド本島の南側に東西それぞれに位置しており、政治・商業の中心地として知られています。
この2大都市はスコットランドの大まかな区分であるハイランド(高い地域)とローランド(低い地域)ではローランドに位置しています。UKからの交通のアクセスの良さや海外との貿易港としてローランドはその窓口としての機能を果たし続けています。
上記の地図の白線は1784年に制定された北部ハイランドとの境界線「ハイランド・ライン」で、その線の南部地域を「ローランド」と総称します。
このハイランド・ラインはハイランドとローランドのウイスキーにかかる酒税や課税方法が異なるため、地域呼称を定める必要があった経緯で決められました。
スコットランド東岸にある町ダンディーと西岸に位置するグリーンノックの間を結ぶ線がその境目として定められました。
ローランドには、首府エジンバラと重商業都市グラスゴーが、政治や経済の中心として成長していきます。
逆にスコッチ・ウイスキーは重い酒税から逃れるためにハイランド、そのハイランドの中でも渓谷深い、スぺイサイドに隠れ密造酒として稼働と続けていきます。
その結果としてローランドでは、安定してシングルモルトを製造している蒸溜所はオーヘントッシャン蒸溜所とグレンキンチー蒸溜所のみで、他は一時閉鎖や安定配給が難しい状況です。しかし、大手企業である、例えばダンバートン蒸溜所などのグレーンやジンなどのスピリッツを製造する蒸溜所・プラントはその生産量の多さからローランド地方に存在しています。
また最近は「利便性」「観光」といった観点からも、シングルモルトウイスキーを製造する新興蒸溜所が立て続けにローランド地区に誕生しており、一目を置くエリアとなりました。
エジンバラ城とその街並み
商業都市であるグラスゴー、街中を流れるクライド川が物流を支える
スコットランドの中心的な商業都市、グラスゴーからその街中を流れるクライド川を北上して、車で30分程の距離に位置するのがオーヘントッシャン蒸溜所。非常にアクセスが良く、毎年多くの観光客が訪れています。
設立は1823年。その後、1994年に現在のビーム・サントリー社が所有となりましたが、スコットランドのローランド・ウイスキーの伝統である3回蒸溜の製法を今もなお続けています。
ライトなピーテッド麦芽を使用し、3回蒸溜することで、かなりライトでクリーンな酒質が特徴的です。長期熟成にも向いており、シングルモルトウイスキーとしては飲みやすく、すっきりとした味わいの傾向となります。
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スコットランドのエジンバラから車で南下して30分程に位置するのがこのグレンキンチー蒸溜所。
右の写真を見て頂いた通り、この蒸留所の蒸溜器は初溜・再溜が各1基ずつではありますが、その大きさは初溜釜で3万1000Lという特大サイズ。
この蒸留所からディアジオのブレンデッド・ウイスキーであるジョニー・ウォーカーの骨格となる原酒を生み出し続けています。
ローランドモルトではあるが、スぺイサイドのような、花のイメージや甘い樽感を持っており、シングルモルトウイスキーとしても評価は高い。エジンバラからアクセスが良く、多くの観光客が訪れます。
最近ビジターセンターも改装し、ますます「ジョニー・ウォーカー」を生み出す蒸留所として人気を博していくことでしょう。
蒸溜所の詳細はこちらから
スコットランドの南西に位置し、Wigtown(ウィグタン)の町に位置しています。
1814年創業も1993年に閉鎖。2000年から現在のアームストロングさんによって稼働を再開しました。
現在は、様々なカスクでフィニッシュされたウイスキーがリリースされいるが、再建の際の契約上、この蒸留所を稼動することができるのは年にわずか1,2ヶ月のため、継続的な安定供給が難しい状況です。
閉鎖前のUD社(現:ディアジオ社)で製造されていた原酒が長期熟成としてリリースされていますが、その味わいにバラツキがある印象。この蒸溜所のそもそもの原酒の特徴がつかみづらいところではあります。
まずは現在リリースされている10年を味わってみてこれからの傾向をつかんでいきたいところです。
シングルモルトの「グレンフィディック」「バルヴェニー」やブレンデッドウイスキーの「グランツ」でお馴染みのウィリアム・グラント&サンズ社がグレーンウイスキーを製造するガーヴァン蒸溜所の近隣に2007年に建設されたのがこのアイルサ・ベイ蒸溜所。元々はレディーバーン蒸溜所という閉鎖した蒸溜所の跡地でもあります。
2016年に初のシングル・モルトをリリース。ピートタイプ3種、ライトタイプ、スイートタイプのそしてノンピートタイプの5タイプのウイスキーを製造しており、主にグランツのブレンデッドウイスキー用原酒を生み出している。
ファイフ地方は「新興」という言葉がふさわしい場所です。スコットランドのローランドの北東部に位置する豊かな穀倉地であるファイフ地方は、近年新しい蒸溜所が建設されています。このエリアの中心地はゴルフ発祥の地と呼ばれるセント・アンドリューズですが、キングスバーンズはそこから南東に下った場所にあります。また、現在1人!で蒸溜を行っているダフトミル蒸溜所や、初めてウイスキーを造ったとされる聖職者ジョン・コーでおなじみのリンドーズ・アビーもこのファイフ地区に位置しています。
キングスバーンズ蒸溜所はボトラーズとしても最近リリースされている「ウィームス」ブランドのウィームス一家が経営に関わって以降、精力的に「ドリーム・トゥー・ドラム」という定番商品や限定品をリリースしています。ウィームス家はエジンバラ近郊にあるウィームス城の城主でワイン商としても有名で新たにウイスキービジネスに参入してきた代表的な新興蒸溜所で、地元で育成されたコンチェルト種を使用し、近くの井戸水を使用しています。
スペック:アルコール度数40%・容量700ml
オーヘントッシャン12年はローランドを代表する銘柄です。
伝統的製法の3回蒸溜で、スムースな飲み口ながら、キャラメルやシトラスの甘美な旨味と生姜のしょうなスパイシーさがアフターに残る1本。
ローランドのシングルモルトウイスキーはまずはここからお試し頂きたいです。
スペック:アルコール度数:43% 容量:700ml
ローランドにおいて、地味ながらも長く創業してきた蒸溜所です。
こちらもオーヘントッシャン同様に程よい甘さとでドライな味わいはライトボディを表現するローランド特有の個性です。
朴訥とした田舎に咲く花のような印象は多くのモルト好きを魅了していくことでしょう。大改修を行いブレンデッドウイスキー「ジョニーウォーカー」を生み出す蒸溜所の一つとしてブランディングを行っており、ぜひ飲み比べて頂いても面白い1本です。
スペック:アルコール度数46.7% 容量700ml
スコットランド・ウィグタイン町の外れに位置するこの蒸留所は年間10万リットルを条件に2000年に再稼働しました。多彩なカスクでの追熟による限定リリースが増えてきていますが、この10年がスタンダード商品。
白い花のようなニュアンスから、シトラスのフレーバーが分かりやすく立ち上がってきます。オートミールのような麦芽香、ジンジャーのスパイシーさも香り立ちます。
シルキーな滑らかさでこちらもやはりローランドを感じさせてくれる1本、生産量が少ないのでぜひ一度は試してみたい蒸溜所です。
スペック:アルコール度数 40% 容量 700ml
「アーストン」は、アイルサ・ベイ蒸溜所のシングルモルトウイスキーです。 アイルサ・ベイでは2016年にシングルモルトをリリースしていますがその時はまだ熟成年数表記ではありませんでした。
このウイスキーは、初となる熟成年数表記入のシングルモルトウイスキーです。
このシーカスク(Sea Cask)はノンピート麦芽を使用し、海岸側近くの貯蔵庫で熟成されていたウイスキーで、滑らかな口当たりと潮っぽさが特徴的です。
アーストンは他にもピーテッド麦芽を使用し内陸の熟成庫で熟成されたランドカスクもリリースしています。
スペック:アルコール度数 46% 容量 700ml
2014年に設立された新興蒸溜所。ファイフ地区は豊富な穀倉地で、この蒸留所も所有する畑から収穫される大麦を使用している。
大麦の風味を生かすため3回ではなく、2回で蒸溜する。熟成においては、1st フィルのバーボンバレル原酒を90%、ファーストフィルの赤ワインカスク(STR)原酒10%をブレンド、カスタードクリームのような甘さと生姜のスパイシーさが交互に現れる。
スペック:アルコール度数40%・容量700ml
オーヘントッシャン18年はローランドを代表する銘柄です。
伝統的製法の3回蒸溜を行う数少ないスコットランドの蒸溜所。
18年熟成は緑茶やナッツ、アーモンド香りが更に際立っている。その中でもシルキーで繊細なボディは、たまに感じる石灰のニュアンスは熟成年数に関わらずこの蒸留所のスタイルとして堪能して欲しい。
* プラスプラン、アドバンスプランのみ
**アドバンスプランのみ
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