ザ・ウイスキー・スタジオの11月特集はスモーキーなスコッチ・ウイスキーです。スモーキーなウイスキーの代表的な銘柄をテイスティングしていきます。ストレートでもハイボールでも、一癖のあるスコッチをお楽しみください。
「燻香」を楽しむ
ザ・ウイスキー・スタジオの11月特集はスモーキーなスコッチ・ウイスキーです。スモーキーなウイスキーの代表的な銘柄をテイスティングしていきます。ストレートでもハイボールでも、一癖のあるスコッチをお楽しみください。
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ウイスキーのスモーキーな香りとは一体何でしょうか? 一般的にスモーキー(Smoky)は、「煙」「焦げた匂い」「すす(煤)」などをイメージされると思います。そのイメージを実際の風味として体感することができるのがウイスキーの特徴です。もちろん世界中にはスモーキーではないウイスキーもたくさんあります。後述する「ピートを焚かない」ウイスキーにはスモーキーさを感じることはあまりありません。
ウイスキーの風味の一つである「スモーキー」を生み出す大きな要因の一つに「ピート(泥炭)」というものが挙げられます。ピートは、野草や水生植物等が炭化した泥炭で、昔からスコットランド人では自宅の暖炉にピートを焚いて生活していました。
また、ウイスキー製造において、ピートを燻した煙で麦芽を乾燥させることは重要な工程の一つでした。その煙のスモーキーな独特の香りが麦芽に付着し、味わいの個性が生まれてくることになったのです。
ピート(Peat)の風味をピーティー(Peaty)と呼ぶことがあります。 今回はその中でも、スコットランドの本島で採掘されたピートを使用したウイスキーとアイラ島のピートを使って乾燥させた麦芽から生まれるウイスキーを飲み比べていくことで、採掘されるピートの違いから、色々なスモーキーさやピーティーさを見つけていきたいと思います。ぜひお楽しみください。
ピートを採掘している様子
ブレンデッドにおいてピーティーなウイスキーは重要な味わいの構成要素となる
ティーチャーズは飲みやすいスモーキーなタイプのブレンデッドスコッチウイスキーです。
名前は創業者のウィリアム・ティーチャーさんから。1860年にウイスキー開発製造の許可が下りたことで、ピートの香りをいっそう深くしたウイスキー製造に着手。「ハイランド・クリーム」を生み出しました。その後、1897年にこのウイスキーの原酒確保のため、アードモア蒸留所の建設を開始。2年後に設立し、現在はスコットランドで最大規模を誇る生産量を誇ります。現在も、このアードモア蒸留所を中心にスモーキーなブレンデッドウイスキーとして人気を誇ります。まずはスモーキーなウイスキーの入門的な存在です。
ティーチャーズ ハイランドクリームは飲みやすいスモーキータイプのブレンデッドウイスキーだ
創ウィリアム・ティーチャーの息子アダム・ティーチャーが自社ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ ハイランド・クリーム」のモルトウイスキー安定供給のために1898年に創業し、現在もその原酒を配給しています。1975年までは自社で精麦を行っていましたが、現在はモルトスター(麦芽製造会社)より麦芽を購入しています。現在はピーテッドとノンピーテッドの両方の麦芽を使用していますが、ピーテッド麦芽はセントファーガスという地元で採掘されたピートを使用。ピーテッド麦芽のフェノール値*は12~14ppmくらいでライトな味わいに仕上がります。ハイランド産のピートの香りを上手く表現していて、スモーキーな上に芝生や青草などの香りを感じさせてくれる1本です。
*フェノール値:スモーキーでピートの風味を表すフェノール性化合物のレベルを数値化したもの。高いほど傾向としてスモーキーな香りも強くなる。例えば、アイラ島のアードベッグの大麦麦芽のフェノール値は60ppm程なのでぜひ飲み比べてみて欲しい
アードモア・レガシーは典型的なハイランド産ピートを使ったウイスキーの味わい
ジョニーウォーカーのラインナップの中でも、通称「ジョニ黒」で知られるブラックラベル12年。「ダブルブラック」は、そのブラックラベル 12年の特長的なフレーバーであるスモーキーさを更に高めた商品。フルボディでスモーキーな味わいとして知られています。アイラ島のカリラ蒸留所やラガヴーリン蒸留所、そしてスカイ島のタリスカー蒸溜所の原酒をキーモルトとして使用していることからアイランズ(島々)のピートタイプの特徴をつかむことができると思います。黒煙や煤のような味わいだけではなくヨード(薬品臭)や樽由来のコクも楽しめる1本です。
ダブルブラックはスモーキーなブレンデッドウイスキーとして十分に完成されている。
カリラとはゲール語で「アイラ海峡」を意味します。アイラ海峡はアイラ島とジュラ島を隔てる海峡で、この奥まった入り江にカリラ蒸留所は位置しています。アイラ島は現在ポートエレンと呼ばれるモルトスター(麦芽製造会社)より麦芽を仕入れています。ここではアイラ島のピートを使用し、フェノール値の調整や出荷量なども調整できるのでほとんどのアイラ島の蒸溜所がここから麦芽を仕入れています。生産規模も大きいため、多くのブレンデッドウイスキーのメイン原酒として使用されていますが、ジョニーウォーカーが代表格でしょう。やや軽めのボディですが甘味もあります。その中で感じるアイラ島の独特のピートフレーバーをぜひお楽しみください。
カリラは思いのほか甘い、しかしエントリーなウイスキーでは決してない
カリラ蒸留所同様に、アイラ島に位置するのがアードベッグ蒸留所です。この蒸留所の使用する麦芽のフェノール値は60ppm。その力強いピート香は世界中のファンを魅了します。アードベッグは最近リリースが増えてきていますが、今回はアードベッグの仕込み水の湖の名前を冠した「ウーガダール」をプラスプランとしてご紹介致します。アードベッグ10年では使用していない、シェリー樽熟成の原酒をブレンドしたことで、強いスモーキーさにシェリーの甘さが加わっています。強いピート香りがシェリー樽と合わさることでどのような味わいに変化するのか?この点にぜひ注目してテイスティングしていきましょう。
この味わいに魅了される方も多い
キャパドニック蒸留所はあまり馴染みのない蒸留所かもしれません。1898年にスコットランドのスぺイサイド地区にあるグレングラント蒸溜所の第2蒸溜所として設立されました。しかしながら。1901年から1965年までは一時閉鎖をしていました。2001年にペルノリカールが購入したのですが1年で閉鎖、2011年には取り壊しとなりました。ペルノリカール社は18年以上厳選されたスぺイサイドのシングルモルトを「シークレットスぺイサイド」シリーズとしてリリースする際にこのキャパドニックをラインナップに追加。幻となった蒸留所のピーテッドタイプの味わいをお楽しみください。
惜しくも閉鎖した蒸溜所がこのキャパドニック蒸溜所だ。
* プラスプラン、アドバンスプランのみ
**アドバンスプランのみ
すべて50mlの容量となります
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